<クリエイティブで世の中を楽しく!>


【これも、コピーライターの視点_143】

「ここはね、コーヒー屋さんなの」。
スターバックスの前で会話している還暦近い婦人。スタバが何なのか、まだ知らない人がいたんだということではなく、「ここは、コーヒー屋だ」と人から人へ伝わっているリアルな瞬間に思うことがありました。物事はそうやって人に伝わっているということ。何屋だとわかりやすく伝わっていく以上に強いことはありません。いまでこそ「レンタルビデオ」という仕組みは私たちになじみがありますが、創業間もないTUTAYAは、「蔦屋書店」として「書店」の看板を捨てなかった。あくまでも「本屋」を謳いながら、そのなかで、ビデオのレンタルを開始しています。「ビデオを借りられる」という驚きは、「書店」という旧来からの馴染みの枠組みにあったことで、その後の広がりを見せます。

そういう話を、わたしはいつもコピーライターという仕事に重ねて見てしまいます。メディアの広告の文案家というそのはじまりは、広く知られているところですが、テレビとか新聞というメディアの意味や力が相対的に変化しているなかで、「コピーライターでございます」という旧来の立ち位置が変化しなくて良いはずはありません。ネットなど、書くメディアの領域が広がっているということだけではなく、コピーライターの「思考」と「クリエイティブ」の親和性に着目をすると、わたしはその活躍の可能性を例えば「地域」に感じ取り、さらにそれを「学問」として社会に貢献できる道を切り拓こうとしています。

コピーライターと地域の掛け算が「地域も学校」であり、「太田地区未来デザイン井戸端会議」。学問の進歩に貢献する意味では、大学院での研究論文に援用しようとしています。そして、そのものの見方や考え方、思考力を子どもにいち早く定着させたいと願って開校しているのが、毎週水曜の夜に開いている国語・現代文の単科塾「OSアカデミア」。広く言えば「クリエイティブで社会を楽しくする」という一言に尽きます。

昨日の香川県内の得意先との打ち合わせは、新商品の展開とそのコミュニケーション戦略についてでしたが、「クリエイティブで社会を楽しくする」ということを具象化するものになる明確な見通しを持てました。そして、その軸にすべてを求心させ、具体と抽象の往還を繰り返すことで、さらにその軸を太くしていく。それ以外のよそ見をしたいと思わなくなったのは、四十にして惑わずでしょうか。今日は横浜。これまた、コピーライターとして社員教育の在り方に一言申してきたいと思います。「ここはコーヒー屋さんなの」に立ち返ると「この人は、コピーライターなの」と、10年後も20年後も人に言ってもらえると望外の幸せです。


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