【これも、コピーライターの視点_132】

<前例のない時代にあって>

成功事例に学び、効率よく模倣することで収益を上げることができた時代は、広告屋も同じで、アメリカのアドバタイジングに倣い、そのモデルを回すことで稼ぎが立っていたように思いますが、大手広告会社の収益性に陰りが出始めていることは、いまに始まったことではありません。2000年前後には、100年以上続いた老舗広告代理店の廃業などがあり、生き残りを掛けた吸収合併もいまだに後を絶ちません。わたしたちはいま、不確かな未来を生きようとしています。

何をすれば、収益が上がるのか。企業経営者は、それを常に考え続けているように思います。どこかの誰かがやっていることにヒントはあっても、それを模倣して自社も稼ぎが立つかといえば、その保証はもはやありません。自社の強みを分析するという旧来の経営分析の方法も、有効性がないわけではないと思いますが、その成果は限定的。変わり続ける市場環境において、強みは常に過去のこととも言えます。

未来を切り拓く。今日安泰な企業も、明日は分からない。その危機意識のもと、常に思考し、学び続ける企業文化こそが、成長の源であることに違いありませんが、思考の方法が曖昧な場合が多い。考えるのではなく、宙を見つめ、ぼんやりとして、思いつきを待つ。それを思考とは言わない。昨日打ち合わせをした得意先とは、その思考の筋道を立て、体系化しようと試みました。企業経営における思考とは、最上位に育みたい社員像があり、着地点には、売上に代わる具体的な商品やサービスの開発、今日明日の具体的な行動が描けることが必須。

思考のむつかしさは、抽象度に比例すると思います。できるだけ目に見える具体的な議論が肝要ですが、どうしても抽象的な概念をさわることを避けては通れません。その抽象的な概念とは言葉であり、言葉は思考のクセや習慣から出てくるように思います。つまり、企業が不確かな未来に何とか見通しを立てようとするときに、社員の言葉の水面下にある思考のクセや習慣に切り込まなくては質の高い議論にならないということを思っています。言葉のプロであるコピーライターの力は、そこにも貢献できると考えて実践しています。


タグ:#CONERI #クリエイティブ #コミュニケーション #コンサル #人見 #デザイン思考